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自己破産をする方が機械や什器備品を売却する場合の注意点
1 事業者の自己破産
法人や個人事業主が自己破産をする場合,事業に用いていた機械や在庫商品としての什器備品等の動産類を処分する必要があります。
動産類の処分の方法やタイミングを検討するにあたり問題となる点がいくつかあります。
2 動産類の処分の注意点
- ⑴ 所有権者,担保権者等の確認
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前提として,売却等の処分が可能なものであるのかどうかを確認しておく必要があります。
所有者=破産者ではない場合に勝手に物を処分することはできません。
たとえば,リース物件や譲渡担保権が設定されている物については,返還すべき相手方へ返還しなければなりません。
どの物にどのような権利が設定されているのか,設定されているとして破産手続きとの関係でその権利を主張することが許されるべきであるのかどうかを,契約書の記載や物の保管状況等に照らしてよく確認する必要があります。
- ⑵ 処分価格,方法について
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破産者=所有者であり,その他の担保権等が設定されていないことが確認できたのであれば,このような動産類を売却する余地があることとなります。
この場合,なるべく多くの動産類を高額で売却し,債権者の取り分を増やす努力をすることが求められますので,処分価格の相当性は慎重に検討されるべきです。
不当に低い価格で売却したと判断された場合,適正な価格との差額を弁償する義務を負う可能性があります。
高価な物であれば可能な限り2社以上で売却価格の査定を取り,高い価格をつけた買主に売却する方法を目指すことになります。
少額の動産類の数が多い場合には,バーゲンセールを実施して売り切ることを検討することもありえます。
- ⑶ 個人情報保護との関係
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パソコン等の個人情報が保存された機器を処分する場合に特に問題となります。
破産者側で適切に保管あるいは個人情報を消去したうえで処分するように求められることが多いものと思われます。
- ⑷ 有害物質を含む物の処分
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一例として,変圧器やコンデンサにはPCBという有害物質がつかわれていることがあります。
このような有害物質には保管,処分の方法が法律で定めらており,これに従い適切な処分を行う必要があります。
3 まとめ
物の処分に関しては,基本的に破産手続開始決定後の破産管財人による処分にゆだねるべきことも多いといえます。
やむを得ず破産管財人の選任前に処分する必要がある場合には注意して検討する必要があります。
自己破産を岐阜でお考えの方は,弁護士法人心 岐阜法律事務所にご相談ください。
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